岐阜の税理士 鷲見のつぶやき

経営や生活にかかる税務の話題を中心に、その時々 自分の気になった話題を取り上げます。 わかりやすくを心がけますので 専門家の方から見れば ? と思われる個所があるかもしれませんがご容赦を。 ( 書いていることは その時の法令に従ってますし すべて私見です。)

所得税

書類にマイナンバー書くのって不安 (@_@;)

 サラリーマンの方で平成27年年末調整の時 扶養控除等申告書を書いて会社に出されました?

 書式が変わってましたよね( 参考 年末調整 始まりますね。(^_-)-☆ ) 本人やら家族やらのマイナンバーを書く欄がありました。 マイナンバー記入されました?
 提出方法によっては多数の人が見る可能性がありますよね。
多数の人が見ることができる書類にマイナンバーを書くのって不安ありませんか?

 国税庁HPのマイナンバーFAQ 平成28年3月31日現在の源泉所得税に関するFAQに次のような取扱いが記されています。

『 Q1-5-1 扶養控除等申告書の個人番号欄に「給与支払者に提供済みのマイナンバー(個人番号)と相違ない」旨の記載をすることで、マイナンバー(個人番号)の記載に代えることはできますか。


(答)
 平成28年1月以後に提出する扶養控除等申告書には、従業員本人、控除対象配偶者及び控除対象扶養親族等のマイナンバー(個人番号)を記載する必要がありますので、前年と変更がない場合であっても、原則、マイナンバー(個人番号)の記載を省略することはできません。
 しかしながら、給与支払者と従業員との間での合意に基づき、従業員が扶養控除等申告書の余白に「マイナンバー(個人番号)については給与支払者に提供済み のマイナンバー(個人番号)と相違ない」旨を記載した上で、給与支払者において、既に提供を受けている従業員等のマイナンバー(個人番号)を確認し、確認 した旨を扶養控除等申告書に表示するのであれば、扶養控除等申告書の提出時に従業員等のマイナンバー(個人番号)を記載しなくても差し支えありません。

 なお、給与支払者において保有しているマイナンバー(個人番号)とマイナンバー(個人番号)の記載が省略された者に係る扶養控除等申告書については、適切かつ容易に紐付けられるよう管理しておく必要があります。』


 また 次のFAQでは同様な取り扱いができる書類として次のものが列挙されています。
  • 「給与所得者の保険料控除申告書」
  • 「給与所得者の配偶者特別控除申告書」
  • 「従たる給与についての扶養控除等申告書」
  • 「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」
  • 「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」
  • 「退職所得の受給に関する申告書」

 この取り扱いに関する注意点、留意点も併せて書かれていますので、この取り扱いをされる方は国税庁HPなどで必ず確認してください。


 そして平成28年度税制改正では この給与所得所得者の扶養控除等(異動)申告書は マイナンバーを記載しなくてよい書類となりました。(平成29年分以後の所得税について適用されます。)

 当然給与等の支払者は 扶養控除等申告書を提出する者及びその申告書に記載すべき配偶者、扶養親族のマイナンバーその他の事項を記載した帳簿を備えなる必要はあります。


 平成28年度税制改正ではこのほかにも多数の書類にマイナンバーを記載しなくてもよくなります。

マイナンバーの記載を省略する書類の一覧(案)(H28.3.31現在)は財務省のHPにありますので気になる方はご覧ください。


 マイナンバーは取り扱う側についても個人情報保護委員会が定めるガイドラインに従い適正な取り扱いをしなければなりません。

 会社にとっても マイナンバーをガイドラインに従って別の書面や電子ファイルで管理したほうが安全性などが担保でき かつ事務負担が軽減できるといったメリットもあります。


  今後も利便性と安全性を高めるためにどんどん改革を進めてほしいものです。




 

所得税入門 10 (一時所得)

一時所得とは

  利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得 及び 譲渡所得以外の所得のうち
 ① 営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の
 ② 労務その他の役務または資産の譲渡の対価としての性質を有していない
 ③ 一時的に生ずる所得
をいいます。
 
 懸賞の賞金、競馬や競輪の払戻金、借家人が受ける立退料、遺失物に拾得による報労金、生命保険契約や損害保険契約の満期返戻金などが該当します。

 宝くじの当選金やスポーツ振興投票(いわゆるサッカーくじ)の払戻金も当てはまりそうですがこれらはそれぞれの根拠法である 当選金付証票法・スポーツ振興投票の実施等に関する法律で 所得税を課さないとされています。
  
 また 相続や個人からの贈与による所得は所得税でなく相続税・贈与税の対象となります。
 
 法人から贈与を受けた金品については 業務に関してとか、労務等の対価として受けるものは 事業所得や雑所得となり、 業務に関して受けたものでなく、かつ、一時的で労務の対価でないものが一時所得となります。

 心身または資産に与えられた損害を補てんする性質の損害保険金、損害賠償金なども非課税です。

 ちなみに最近増えている ふるさと納税 により地方公共団体から受けた特産品等も一時所得として所得税の対象となります。


所得金額の計算

  一時所得の金額 = 総収入金額 - その収入を得るために支出した金額 - 特別控除額

 特別控除額 
  50万円(総収入金額からその収入を得るために支出した金額を引いた金額が50万円未満の場合はその残額)


総所得金額計算
 総所得金額を計算する場合、一時所得の金額の2分の1に相当する金額が他の所得と総合されます。

その収入を得るために支出した金額
 原則として その収入を生じた行為をするため、または そのしゅうにゅうを生じた原因の発生に伴って直接要した金額です。

馬券の払戻金について 
 競馬の払戻金から引くことができる勝ち馬投票券(以下 馬券といいます。)の購入代金は当たり馬券の購入費のみということです。

 平成27年3月に確定した競馬の払戻金の無申告に係る刑事裁判で払戻金の所得区分が争われたことがありました。 大きく報道もされたのでご存知の方も多いと思いますが この裁判では 払戻金は雑所得とされました。したがって当たり馬券のみならず購入した馬券の購入代金が必要経費として認められました。

 この判決を受け国税庁は一時所得の例示で競馬の払戻金等に 『 個々の馬券の的中に着目しない網羅的な購入をして当たり馬券の払戻金を得ることにより多額の利益を恒常的に上げ、一連の馬券の購入が一体の経済活動の実態を有することが客観的に明らかである場合。』は一時所得に該当しないという注釈を加えました。

 平成27年5月の東京高裁では 多額の馬券購入をしていた原告について雑所得と認めませんでした。
 この原告は 平成20年約15億6千万 平成21年約15億  平成22年 約10億5千万円の馬券を購入していました。

 つまり 一時所得か雑所得かの判断は額の問題ではないということです。

 雑所得とされた馬券は 個々の馬券の敵中に着目するのではなくインターネット上の競馬情報配信サービス等から得られるデータから独自の条件設定、計算式に基づきコンピュータによる自動購入を行っていたそうですが、東京高裁の原告はレース分析を行ったうえで大量購入していたので他の馬券購入者と同質であり自動的機械的に購入していないので一時所得とされとようです。
 
 

 
 

所得税入門9 (山林所得)

山林所得とは

 山林を伐採してまたは立木(りゅうぼく)のまま譲渡することにより生じた所得です。


 この場合の‘‘ 譲渡 ’’には  通常の売買のほか、交換、競売、公売。、代物弁済、収用、法人に対する現物出資なども含まれます。

 また 取得から5年以内の山林については 事業所得または雑所得に区分されます。

 山林を土地付きで譲渡した場合には、土地部分の譲渡による所得は 譲渡所得 になります。


所得金額の計算

    山林所得の金額  =  収入金額 - 必要経費 - 山林所得の特別控除額

  必要経費  譲渡した山林の植林費、取得に要した費用、育成費、管理費、伐採費、譲渡に要した費用などです。

  ※ 昭和27年12月31日以前から所有していた山林の必要経費については、
  ① その山林の昭和28年1月1日における相続税評価額。
  ② その山林の昭和28年月1日以降に支出したその山林の育成費、管理費、伐採
    費、譲渡に要した費用 
  の合計額とすることができます。

  ※ 伐採または譲渡した年の15年前の12月31日から引き続き所有していた山林については次の算式により計算した金額によることができます。

  { 収入金額-(伐採費+譲渡経費)}×概算経費率(50%)+(伐採費+譲渡経費)


  特別控除額   50万円(所得金額が50万円未満の場合はその金額)


税額計算

 山林所得は税額の計算でも他の所得とは異なった計算がされます。
所得税は 所得金額を区分 区分ごとの税率が決められています。 税率は額が多いほど増えていきます。(超過累進税率って言います。)

 【平成27年分以降】
195万円以下5%0円
195万円を超え 330万円以下10%97,500円
330万円を超え 695万円以下20%427,500円
695万円を超え 900万円以下23%636,000円
900万円を超え 1,800万円以下33%1,536,000円
1,800万円を超え4.000万円以下40%2,796,000円
4,000万円超45%4,796,000円

 例えば 課税する所得金額が600万円の場合 195万円までは5%で 1,950,000×5%= 97,500   195万超330万以下は10%で1,350,000×10%=135,000   330万超600万までが20%で 2,700,000×20%=540,000。 それぞれの金額を合計して税額は 772,500となります。
 表の右の数字は控除額です。たとえの600万だと 上から3番目の区分ですから 600万×20%=120万から控除額427,500を引くと 772,500となり 所得金額をいちいち区分ごとの税率で計算、合算しなくても所得金額からすぐに税額が計算できます。

 話は 山林所得に戻します。

 上記のように所得税は所得金額が多くなれば税率も上昇していきます。
山林所得では 5分5乗といって 税率の区分を 所得金額を5で除した金額で計算 その金額を5倍した金額が税額となります。 つぎに5分5乗方式を織り込んだ税額表を載せておきますので税額がどれだけ違うのかを計算してみてください。

 【 山林所得に係る税額表  平成27年分以降 】
  1,000円 ~  9,749,000円5%0円
 9,750,000円 ~ 16,499,000円10%487,500円
16,500,000円 ~ 34,749,000円20%2,137,500円
34,750,000円 ~ 44,999,000円23%3,180,000円
45,000,000円 ~ 89,999,000円33%7,680,000円
90,000,000円 ~ 199,999,000円40%13,980,000円
200,000,000円 ~45%23,980,000円
(国税庁 平成27年分山林所得の申告のしかた(記載例) より)


 

所得税入門8 (譲渡所得)

譲渡所得とは

 文字通り ものを譲渡した所得です。

 この場合の‘‘ もの ’’には  土地、家屋といった固定資産のみならず車両などの動産で生活用動産以外の動産も含まれます。

また次のようなものも譲渡所得とされます。

 ① 法人に資産を贈与した場合。
 ② 競売、競売に付された場合。
 ③ 土地、建物等が収用された場合。
 ④ ゴルフ会員権などの権利の譲渡
 ⑤ 生活用動産のうち貴金属や、書画骨董などで1個または1組の価額が30万円を超えるものの譲渡。
 などなど・・・

譲渡所得の区分

 
譲渡所得はその資産、所有期間などのより次の区分がされます。

 資産による区分
   
   ① 分離課税(土地建物等) 
         対象資産   土地(土地の上に存ずる権利を含む。)及び建物

   ② 株式譲渡益課税
         株式等の譲渡にかかる課税

   ③ 総合課税
        対象資産  分離課税の対象とされる資産以外の資産 および 漁業権等の消滅

 所有期間による区分

   ① 土地建物等
      譲渡した年の1月1日における所有期間が5年  超  長期譲渡所得
                      〃      以下 短期譲渡所得  

   ② 総合課税となる資産
      譲渡したときにおける所有期間  5年超 長期譲渡
            〃         5年以下 短期譲渡

譲渡所得の金額


   収入金額 - ( 取得費 + 譲渡経費 ) - 特別控除

※ 総合所得の場合   特別控除  50万円   長期譲渡所得は上記所得の1/2が他の所得に合算される。

  

所得税入門7 (給与所得)

給与所得とは

   ① 俸給、給料、賃金、歳費、賞与
   ② ①の性質を有するもの     (所得税法28①)とあります。

 給与所得には 金銭で受け取ったもののほか ものや商品券などで受け取った場合にも①の性質を有すると認められるものが含まれます。

 通勤に係る交通費や 食事代などが支給されている場合 税法の規定を超える部分は給与所得となります。
 また 勤務先から表彰され 報奨金などとして金品を受け取った場合にも給与所得とされることがあります。
 

所得金額の計算

       給与所得の金額 = 給与等の収入金額 - 給与所得控除

 給与所得控除の額は 給与等の収入金額に応じて決められていて 平成27年では 1,500万円超の給与等の収入額に対する245万円が限度となっています。
 この上限額は 平成28年分については1,200万円超の給与所得等の収入額で230万円となる予定です。

 給与所得控除額は 事業所得の場合などの必要経費に相当するものです。
 「 事業所得などは その収入にかかる費用を引けるのに 給与所得者は収入に応じた額しか引けない 俺はもっと多くの金を自腹で仕事のために使ているぞ。 」という方には 特定支出控除 という制度があります。

年末調整

 
給与の明細尾を見ると 源泉所得税 といった項目で所得税が引かれています。
 社員の給与から源泉徴収税額表に基づき天引 会社などが本人に代わって納付するものです。

 この納付はあくまで 月ごと、賞与ごとの予定計算なので 年末調整 により 正しい納付すべき税金との調整を行います。
 年末調整の時に 扶養家族などを記入する用紙や 生命保険などの控除証明書を会社などに出されますよね。
 会社などは それらの書類をもとに納めるべき税額を計算しているのです。

 でも 2か所以上の会社などから給与をもらってみえる方などは 正しい納付すべき税額が計算できませんからご自分で正しい税額を計算し申告をすることになります。