岐阜の税理士 鷲見のつぶやき

経営や生活にかかる税務の話題を中心に、その時々 自分の気になった話題を取り上げます。 わかりやすくを心がけますので 専門家の方から見れば ? と思われる個所があるかもしれませんがご容赦を。 ( 書いていることは その時の法令に従ってますし すべて私見です。)

税法の基礎

所得税入門 10 (一時所得)

一時所得とは

  利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得 及び 譲渡所得以外の所得のうち
 ① 営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の
 ② 労務その他の役務または資産の譲渡の対価としての性質を有していない
 ③ 一時的に生ずる所得
をいいます。
 
 懸賞の賞金、競馬や競輪の払戻金、借家人が受ける立退料、遺失物に拾得による報労金、生命保険契約や損害保険契約の満期返戻金などが該当します。

 宝くじの当選金やスポーツ振興投票(いわゆるサッカーくじ)の払戻金も当てはまりそうですがこれらはそれぞれの根拠法である 当選金付証票法・スポーツ振興投票の実施等に関する法律で 所得税を課さないとされています。
  
 また 相続や個人からの贈与による所得は所得税でなく相続税・贈与税の対象となります。
 
 法人から贈与を受けた金品については 業務に関してとか、労務等の対価として受けるものは 事業所得や雑所得となり、 業務に関して受けたものでなく、かつ、一時的で労務の対価でないものが一時所得となります。

 心身または資産に与えられた損害を補てんする性質の損害保険金、損害賠償金なども非課税です。

 ちなみに最近増えている ふるさと納税 により地方公共団体から受けた特産品等も一時所得として所得税の対象となります。


所得金額の計算

  一時所得の金額 = 総収入金額 - その収入を得るために支出した金額 - 特別控除額

 特別控除額 
  50万円(総収入金額からその収入を得るために支出した金額を引いた金額が50万円未満の場合はその残額)


総所得金額計算
 総所得金額を計算する場合、一時所得の金額の2分の1に相当する金額が他の所得と総合されます。

その収入を得るために支出した金額
 原則として その収入を生じた行為をするため、または そのしゅうにゅうを生じた原因の発生に伴って直接要した金額です。

馬券の払戻金について 
 競馬の払戻金から引くことができる勝ち馬投票券(以下 馬券といいます。)の購入代金は当たり馬券の購入費のみということです。

 平成27年3月に確定した競馬の払戻金の無申告に係る刑事裁判で払戻金の所得区分が争われたことがありました。 大きく報道もされたのでご存知の方も多いと思いますが この裁判では 払戻金は雑所得とされました。したがって当たり馬券のみならず購入した馬券の購入代金が必要経費として認められました。

 この判決を受け国税庁は一時所得の例示で競馬の払戻金等に 『 個々の馬券の的中に着目しない網羅的な購入をして当たり馬券の払戻金を得ることにより多額の利益を恒常的に上げ、一連の馬券の購入が一体の経済活動の実態を有することが客観的に明らかである場合。』は一時所得に該当しないという注釈を加えました。

 平成27年5月の東京高裁では 多額の馬券購入をしていた原告について雑所得と認めませんでした。
 この原告は 平成20年約15億6千万 平成21年約15億  平成22年 約10億5千万円の馬券を購入していました。

 つまり 一時所得か雑所得かの判断は額の問題ではないということです。

 雑所得とされた馬券は 個々の馬券の敵中に着目するのではなくインターネット上の競馬情報配信サービス等から得られるデータから独自の条件設定、計算式に基づきコンピュータによる自動購入を行っていたそうですが、東京高裁の原告はレース分析を行ったうえで大量購入していたので他の馬券購入者と同質であり自動的機械的に購入していないので一時所得とされとようです。
 
 

 
 

所得税入門9 (山林所得)

山林所得とは

 山林を伐採してまたは立木(りゅうぼく)のまま譲渡することにより生じた所得です。


 この場合の‘‘ 譲渡 ’’には  通常の売買のほか、交換、競売、公売。、代物弁済、収用、法人に対する現物出資なども含まれます。

 また 取得から5年以内の山林については 事業所得または雑所得に区分されます。

 山林を土地付きで譲渡した場合には、土地部分の譲渡による所得は 譲渡所得 になります。


所得金額の計算

    山林所得の金額  =  収入金額 - 必要経費 - 山林所得の特別控除額

  必要経費  譲渡した山林の植林費、取得に要した費用、育成費、管理費、伐採費、譲渡に要した費用などです。

  ※ 昭和27年12月31日以前から所有していた山林の必要経費については、
  ① その山林の昭和28年1月1日における相続税評価額。
  ② その山林の昭和28年月1日以降に支出したその山林の育成費、管理費、伐採
    費、譲渡に要した費用 
  の合計額とすることができます。

  ※ 伐採または譲渡した年の15年前の12月31日から引き続き所有していた山林については次の算式により計算した金額によることができます。

  { 収入金額-(伐採費+譲渡経費)}×概算経費率(50%)+(伐採費+譲渡経費)


  特別控除額   50万円(所得金額が50万円未満の場合はその金額)


税額計算

 山林所得は税額の計算でも他の所得とは異なった計算がされます。
所得税は 所得金額を区分 区分ごとの税率が決められています。 税率は額が多いほど増えていきます。(超過累進税率って言います。)

 【平成27年分以降】
195万円以下5%0円
195万円を超え 330万円以下10%97,500円
330万円を超え 695万円以下20%427,500円
695万円を超え 900万円以下23%636,000円
900万円を超え 1,800万円以下33%1,536,000円
1,800万円を超え4.000万円以下40%2,796,000円
4,000万円超45%4,796,000円

 例えば 課税する所得金額が600万円の場合 195万円までは5%で 1,950,000×5%= 97,500   195万超330万以下は10%で1,350,000×10%=135,000   330万超600万までが20%で 2,700,000×20%=540,000。 それぞれの金額を合計して税額は 772,500となります。
 表の右の数字は控除額です。たとえの600万だと 上から3番目の区分ですから 600万×20%=120万から控除額427,500を引くと 772,500となり 所得金額をいちいち区分ごとの税率で計算、合算しなくても所得金額からすぐに税額が計算できます。

 話は 山林所得に戻します。

 上記のように所得税は所得金額が多くなれば税率も上昇していきます。
山林所得では 5分5乗といって 税率の区分を 所得金額を5で除した金額で計算 その金額を5倍した金額が税額となります。 つぎに5分5乗方式を織り込んだ税額表を載せておきますので税額がどれだけ違うのかを計算してみてください。

 【 山林所得に係る税額表  平成27年分以降 】
  1,000円 ~  9,749,000円5%0円
 9,750,000円 ~ 16,499,000円10%487,500円
16,500,000円 ~ 34,749,000円20%2,137,500円
34,750,000円 ~ 44,999,000円23%3,180,000円
45,000,000円 ~ 89,999,000円33%7,680,000円
90,000,000円 ~ 199,999,000円40%13,980,000円
200,000,000円 ~45%23,980,000円
(国税庁 平成27年分山林所得の申告のしかた(記載例) より)


 

税務署の処分に納得できなかったらどうする?

 一般的に行政の処分に不満がある場合お手続きは行政不服審査法の規定によりますが
 国税に関する処分に不満がある場合には 国税通則法 に規定する手続きによります。

平成28年3月時点の現行法である行政不服審査法は昭和37年に制定、施行されました。
 おおよそ半世紀を経て平成26年に改正法が成立、施行は平成28年4月1日となっています。

 公平性・利便性の向上等の観点から時代に即して抜本的な見直し(総務省パンフレットより引用)が行われその関連法として国税通則法の不服申立てに関する規定も改正、平成28年4月1日以後に行われる処分を対象とした不服申立てについて適用されます。
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国税不服審判所HPより引用(http://www.kfs.go.jp/system/pdf/02.pdf)【クリックで拡大】

 改正前不服がある場合には原則として原処分庁に対する 異議申立 。 納得できなければ 国税不服審判所長に対する 審査請求 を行ったのちでなければ 訴訟へと進めませんでした。

 税に関しては専門の知識が必要であるという観点から まず専門知識を持った人に聞いてみようね、それで納得できなければ裁判へという考えからの規定だそうです。

 処分をした人に異議申立をすることがはばかられる人もみえるでしょうから直接審査請求との選択は適切な改正だと思います。

 証拠書類についても 原処分庁が任意に提出した書類等の閲覧しか認められていませんでしたが、審査請求人・参加人および原処分庁が任意で提出した書類等・担当審判官が提出を求めた書類等についての閲覧、写しの交付が請求できるようになりました。
 改正前は 書類等を書き写していたそうですから書き間違えによる誤認の解消や効率化に結び付く有益な改正です。 ちなみにコピーは有料だそうです。

 また 意見陳述についても原処分庁に質問できることが明文化されました。

 感覚としてお上に対するお願いだったものがお互いの意見を聞くことができる場となったようで 改正の趣旨にある 時代に即した抜本的な見直し の文言に納得です。

 

 

 


所得税入門8 (譲渡所得)

譲渡所得とは

 文字通り ものを譲渡した所得です。

 この場合の‘‘ もの ’’には  土地、家屋といった固定資産のみならず車両などの動産で生活用動産以外の動産も含まれます。

また次のようなものも譲渡所得とされます。

 ① 法人に資産を贈与した場合。
 ② 競売、競売に付された場合。
 ③ 土地、建物等が収用された場合。
 ④ ゴルフ会員権などの権利の譲渡
 ⑤ 生活用動産のうち貴金属や、書画骨董などで1個または1組の価額が30万円を超えるものの譲渡。
 などなど・・・

譲渡所得の区分

 
譲渡所得はその資産、所有期間などのより次の区分がされます。

 資産による区分
   
   ① 分離課税(土地建物等) 
         対象資産   土地(土地の上に存ずる権利を含む。)及び建物

   ② 株式譲渡益課税
         株式等の譲渡にかかる課税

   ③ 総合課税
        対象資産  分離課税の対象とされる資産以外の資産 および 漁業権等の消滅

 所有期間による区分

   ① 土地建物等
      譲渡した年の1月1日における所有期間が5年  超  長期譲渡所得
                      〃      以下 短期譲渡所得  

   ② 総合課税となる資産
      譲渡したときにおける所有期間  5年超 長期譲渡
            〃         5年以下 短期譲渡

譲渡所得の金額


   収入金額 - ( 取得費 + 譲渡経費 ) - 特別控除

※ 総合所得の場合   特別控除  50万円   長期譲渡所得は上記所得の1/2が他の所得に合算される。

  

所得税入門7 (給与所得)

給与所得とは

   ① 俸給、給料、賃金、歳費、賞与
   ② ①の性質を有するもの     (所得税法28①)とあります。

 給与所得には 金銭で受け取ったもののほか ものや商品券などで受け取った場合にも①の性質を有すると認められるものが含まれます。

 通勤に係る交通費や 食事代などが支給されている場合 税法の規定を超える部分は給与所得となります。
 また 勤務先から表彰され 報奨金などとして金品を受け取った場合にも給与所得とされることがあります。
 

所得金額の計算

       給与所得の金額 = 給与等の収入金額 - 給与所得控除

 給与所得控除の額は 給与等の収入金額に応じて決められていて 平成27年では 1,500万円超の給与等の収入額に対する245万円が限度となっています。
 この上限額は 平成28年分については1,200万円超の給与所得等の収入額で230万円となる予定です。

 給与所得控除額は 事業所得の場合などの必要経費に相当するものです。
 「 事業所得などは その収入にかかる費用を引けるのに 給与所得者は収入に応じた額しか引けない 俺はもっと多くの金を自腹で仕事のために使ているぞ。 」という方には 特定支出控除 という制度があります。

年末調整

 
給与の明細尾を見ると 源泉所得税 といった項目で所得税が引かれています。
 社員の給与から源泉徴収税額表に基づき天引 会社などが本人に代わって納付するものです。

 この納付はあくまで 月ごと、賞与ごとの予定計算なので 年末調整 により 正しい納付すべき税金との調整を行います。
 年末調整の時に 扶養家族などを記入する用紙や 生命保険などの控除証明書を会社などに出されますよね。
 会社などは それらの書類をもとに納めるべき税額を計算しているのです。

 でも 2か所以上の会社などから給与をもらってみえる方などは 正しい納付すべき税額が計算できませんからご自分で正しい税額を計算し申告をすることになります。