岐阜の税理士 鷲見のつぶやき

経営や生活にかかる税務の話題を中心に、その時々 自分の気になった話題を取り上げます。 わかりやすくを心がけますので 専門家の方から見れば ? と思われる個所があるかもしれませんがご容赦を。 ( 書いていることは その時の法令に従ってますし すべて私見です。)

経営支援

タブレット利用法(小規模企業白書2016年版)3

 飲食店ではオーダーの時に店員さんが何やら機会を取り出し指でピピっと操作するところが増えているように思います。 少し前に言った飲食店では専用の機械でなく タブレットからオーダーを自分で入力するように促されました。
 機械で入力することで厨房への情報伝達のミスが減る・顧客の年齢とか性別などのいわゆる属性とオーダー品の紐付けが簡単にデータ化できるなど いわゆるPOS※1の効率化・オーダー品提供の効率化にとってメリットがあるため採用が増えているようです。
 
 小規模企業白書によれば87.5%の小規模事業者がIT機器を保有していると答えています。業種別では飲食サービス業の保有率が73.2%で業種別の中で最も低い保有率となっています。
 ITの活用としては情報管理面では事務処理ソフトと経理ソフトの活用率が高くなっていることなどから小規模事業者の飲食サービス業を営んでみえる方でPOSを利用して見える方は限られていると推測されます。

 ITなんぞ訳のわからないものより 客層や季節・天候による売れ筋の変化は自分の勘ピュータの方が余程あてになるといわれる方もみえるかもしれませんが 売上を数値化してみるとご意外な気づきがあるものです。 

 以前は POSレジは専門の機器が必要でその投資額も多額なものでしたが スマートフォンやタブレットの普及、クラウドといってインターネット上でプログラムやデータを管理する手法の活用が一般化したことなどでコストの壁はだいぶ低くなりました。

 売上の管理も器械がやってくれます。 売上増加、経費削減のヒントが見える可能性もあります。
 興味のある方は一度 タブレットを使ったPOSの情報を集めてみてください。
 使い方によっては きっと投資額以上の見返りがあります。


※1 POS ; 販売時点情報管理(英語:Point of sale system、略称POS system) - 物品販売の売上実績を単品単位で集計すること。(Wikipediaより)

※  数値は 2016年版小規模企業白書からの引用です。

どうなる小規模事業者(小規模企業白書2016年版)2

 平成28年6月6日付け 日本経済新聞に 「中小企業2030年消滅?」と題した囲み記事がありました。
経営者のピークの人数が属する年代が毎年ほぼ1歳ずつ上昇 このままでは2030年には80歳の経営者が一番多くなる計算からの見出しです。

 記事では 海外需要取り込みによる売り上げ確保、M&Aを活用した経営者交代が提案されています。
 
 小規模企業白書( 以下「白書」といいます。)では 売上高が増加傾向にある者の約7割が商圏拡大傾向になっています。
 商圏拡大傾向にあるとするトップ3の業種は 「宿泊業」39.1%  「製造業」38.9%  「卸売業」38.0% です。逆に拡大傾向であると回答した者の割合が低かった下位3業種は 「生活関連サービス業」23.1%  「小売業」24.1%  「建設業」29.2% となっています。
 
 理美容業中心とする「生活関連サービス」や「小売業」などの生活密着型業種は商圏拡大の傾向が弱いと白書は分析しています。

 「インバウンド」 「海外進出」 「ネット販売」 キーワードになりそうな言葉はいろいろ浮かびます。 
 売上は 小売業であれば 「 客単価 × 顧客数 × リーピート回数 」 ですから、「 商圏拡大 」は 数を増やす方策の一つとして有効かもしれません。

 売上増加傾向の回答は27.5%  対して 売上総利益(粗利)が増加傾向であるとの回答は22.4%となって居ます。
 売上を増やすことは重要なことですが利益が伴うことが必須です。 資金繰りがタイトであることが多い小規模事業者にとってはなおさらです。
 
 白書によれば 「 卸売業 」 「 飲食サービス業 」では 売上高が増加傾向とする回答と売上総利益が増加傾向であるとする回答は10%以上かい離しています。 逆に売上高増加傾向の回答が低かった「 生活関連サービス 」 「 小売業 」ではその差が小さくなっています。

 業種でひとくくりにはなっていますが、そのビジネスモデルは様々ですから、個々の適性を考えて 売上増加、利益増加の方策を考えなければなりません。
 老齢な経営者の方は経験、知識とも豊富であります。 ただ 経営は5年後、10年後を見据えて取り組む必要があることを考えれば、 経営の実働部隊はより若い世代にと思います。

 

どうなる小規模事業者(小規模事業者白書2016)1

またまた 『小規模企業白書』。
今回は2016年版を取り上げます。

 よく知られている中小企業白書は2016年版が53回目となる法定白書。 私もたまにですが情報源として活用させてもらってます。小規模企業白書はこれと系列を同じとするものです。 2015年版が初回で2016年版は2回目となる法定白書です。

 まずは小規模事業者のおさらい。

小規模企業者とは
 「おおむね常時使用する従業員の数が20人【商業またはサービス業は5人)以下の事業者」をいいます。※1 
 『小規模企業者』というと法人のイメージですが個人事業者も含まれるため白書では基本的に『小規模事業者』といっています。
 また 常時使用する従業員の数が5人以下の事業者を『小規模企業者』と定義しています。白書では基本的に『小規模事業者』といっています。

小規模事業者数の現状
 総務省の「経済センサース基礎調査」によれば2014年の中小企業者数は約381万者 そのうちの約325万社が小規模事業者となっています。日本の企業数の99.7%が中小企業者です。 従業員数ではおおよそ7割が中小規模事業者の従業員です。
 小規模事業者は日本全体のうち企業数としては約85%を占めていますが、従業員数は約23%を占めるにとどまっています。 
 
 小規模事業者の数は2012年の調査に比べ約9.1万者減少しています。 開業で約28.5万者増えてはいるのですが約45.7万者が廃業しています。

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法人の数はあまり変わらず大半が個人事業者の減少です。

業種では小売業が多くを占めています。

個人事業者の離職理由の第一位は「病気・高齢のため」たなっています。

商店街のシャッター通りを何となくイメージしてしまいます。

次回からは白書をみながら 「元気な小規模事業者」を模索したいともいます。

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※ グラフ 出典: 2016年版小規模企業白書概要










事業承継それとも廃業 (@_@;) 

現に事業を行ってみえる方の心配事の一つに事業承継があるのではないでしょうか。
「親族に継がせたいが継ぐ気はあるのだろうか。」「こいつに後を任せて大丈夫なんだろうか。」・・
やはり悩みは親族への承継についてが多いのでしょうか。

小規模企業白書に『現経営者の事業承継の経験』の統計があります。(1-1-54図)


1-1-54
親族以外の経営者から事業を承継したという回答は2.3%しかありません。
多くの方が想像されるよう小規模事業者の大半は親族からの事業承継となっています。

では、現経営者の事業承継に関する思いはどのようになっているのでしょうか。
2012年11月中小企業庁委託調査『中小企業の事業承継に関する調査に係る委託事業報告書』(株式会社野村総合研究所 によると次のようになっています。(以下の数値も2012年11月中小企業庁委託調査『中小企業の事業承継に関する調査に係る委託事業報告書』(株式会社野村総合研究所によります。)

引退
出典:2012年11月中小企業庁委託調査『中小企業の事業承継に関する調査に係る委託事業報告書』(株式会社野村総合研究所データより作成

68%の方が事業を継続したいと答えてみえます。
また事業をやめたいと答えてみえる方の過半数の方が後継者難を理由とされています。
事業をやめたい理由
出典:2012年11月中小企業庁委託調査『中小企業の事業承継に関する調査に係る委託事業報告書』(株式会社野村総合研究所データより作成

 事業をやめたいという方の年齢は高齢の方の割合が多い訳でなく各年代がほぼ同じ割合です。
 事業を引き継いでくれる人材がいれば事業は続けたいということなのでしょうか。

 後継者を決定する際に重視する点(複数回答)では 「親族であること」が48.7%ありますが 「自社の事業・業界に精通していること。」は49.2%あり 他にも 「リーダシップが優れていること。」「営業力・交渉力が高いこと。」など経営能力そのものが後継者選びのポイントとなっています。

 理想は 親族 かつ 高い経営能力 なのでしょう。確かに、事業を継続させたい理由(複数回答)では「親族・後継者のため。」が40.7%を占めています。しかし事業を継続させたい理由のダントツのトップは「従業員の生活を守るため。」それに次いで「取り引き先への供給責任を果たすため。」「地域・社会に貢献しているため。」ともあります。

 事業の社会貢献が理由であるなら 別段後継者は親族である必要はないように思います。

 当然に 引退後の生活は考慮した承継が必要です。
 そのうえで 親族以外への承継。 事業譲渡など考えられてはどうでしょうか。


退職金ほしい~('◇')ゞ (小規模企業白書)2

小規模企業白書2015年版(中小企業庁)からの話です。


1-1-53
小規模企業白書より引用(クリックすると拡大図が開きます)
経営者の引退時期
 統計では小規模企業の経営者の平均引退年齢は2010年で70.5歳となっています。(図1‐1‐53)
 白書の『経営者の年齢層』によれば 50歳代までの方で52.5%、60歳代の方が31.8%、70歳以上の方は15.6%となっています。
 白書では「経常利益が減少傾向にあるとの回答が増加する年齢(70歳以上)に引退する様子が浮かび上がる。」と分析しています。

 サラリーマンですと60-65歳定年が多いと思いますから小規模事業者の方はより長く仕事に関わってみえます。

退職金
 現経営者が事業承継を行うことを躊躇する個人的な要因の回答として最も多い回答が 「厳しい経営環境下で事業を引き継ぐことへの躊躇(後継者候補の人生への配慮)」(複数回答 65.7%)ですから やめたくてもやめられない方も多いのではないのでしょうか。

 現経営者が事業承継を行うことを躊躇する個人的な要因の回答で次に多い回答が「事業を引き継いだ後の、収入・生活面での不安。」(複数回答 57.5%)です。
 多くのサラリーマンは退職金、厚生年金などを考慮して退職後の生活設計をたてることができるでしょうが、小規模事業者の多くはご自分が蓄えた金品に基づき生活設計を考えざるを得ないのではないのでしょうか。

 「退職金」は所得控除などの税制面での優遇措置がありますから多くの方は税金を考えない受け取ったままの金額で生活設計を考えることができます。自分の蓄えたお金は 税金を納めた後のお金ですからできれば「退職金」がほしいですよね。

 実は 小規模事業者のかたが積み立てたお金を退職金として受け取ることができる制度があるんです。
 『小規模企業共済制度』です。掛金は所得控除の対象ですし 要件を満たせば受け取る共済金は「退職所得」または「公的年金等の雑所得」扱いとなり税制面での優遇も享受できます。
 
小規模企業共済制度 
 ご存知の方も多いと思いますが『小規模企業共済制度』は 「経営者の退職金制度」ともいわれています。
 加入してみえますか。
 まだでしたら 加入を検討されたらどうでしょうか。
 「個人事業の廃止、死亡」などが最も手厚い共済金の支給事由でしたが平成28年4月1日から制度の見直しが行われ 配偶者または子に事業の全部を譲渡した場合なども最も手厚い共済金の支給事由となりました。
 
2016_kaisei
中小企業基盤整備機構HP 小規模企業共済制度改正のご案内より引用

まだ加入して見えない経営者の方。 
小規模企業共済を含めた ご自分の『生涯設計図』を描いてください。