一時所得とは

  利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得 及び 譲渡所得以外の所得のうち
 ① 営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の
 ② 労務その他の役務または資産の譲渡の対価としての性質を有していない
 ③ 一時的に生ずる所得
をいいます。
 
 懸賞の賞金、競馬や競輪の払戻金、借家人が受ける立退料、遺失物に拾得による報労金、生命保険契約や損害保険契約の満期返戻金などが該当します。

 宝くじの当選金やスポーツ振興投票(いわゆるサッカーくじ)の払戻金も当てはまりそうですがこれらはそれぞれの根拠法である 当選金付証票法・スポーツ振興投票の実施等に関する法律で 所得税を課さないとされています。
  
 また 相続や個人からの贈与による所得は所得税でなく相続税・贈与税の対象となります。
 
 法人から贈与を受けた金品については 業務に関してとか、労務等の対価として受けるものは 事業所得や雑所得となり、 業務に関して受けたものでなく、かつ、一時的で労務の対価でないものが一時所得となります。

 心身または資産に与えられた損害を補てんする性質の損害保険金、損害賠償金なども非課税です。

 ちなみに最近増えている ふるさと納税 により地方公共団体から受けた特産品等も一時所得として所得税の対象となります。


所得金額の計算

  一時所得の金額 = 総収入金額 - その収入を得るために支出した金額 - 特別控除額

 特別控除額 
  50万円(総収入金額からその収入を得るために支出した金額を引いた金額が50万円未満の場合はその残額)


総所得金額計算
 総所得金額を計算する場合、一時所得の金額の2分の1に相当する金額が他の所得と総合されます。

その収入を得るために支出した金額
 原則として その収入を生じた行為をするため、または そのしゅうにゅうを生じた原因の発生に伴って直接要した金額です。

馬券の払戻金について 
 競馬の払戻金から引くことができる勝ち馬投票券(以下 馬券といいます。)の購入代金は当たり馬券の購入費のみということです。

 平成27年3月に確定した競馬の払戻金の無申告に係る刑事裁判で払戻金の所得区分が争われたことがありました。 大きく報道もされたのでご存知の方も多いと思いますが この裁判では 払戻金は雑所得とされました。したがって当たり馬券のみならず購入した馬券の購入代金が必要経費として認められました。

 この判決を受け国税庁は一時所得の例示で競馬の払戻金等に 『 個々の馬券の的中に着目しない網羅的な購入をして当たり馬券の払戻金を得ることにより多額の利益を恒常的に上げ、一連の馬券の購入が一体の経済活動の実態を有することが客観的に明らかである場合。』は一時所得に該当しないという注釈を加えました。

 平成27年5月の東京高裁では 多額の馬券購入をしていた原告について雑所得と認めませんでした。
 この原告は 平成20年約15億6千万 平成21年約15億  平成22年 約10億5千万円の馬券を購入していました。

 つまり 一時所得か雑所得かの判断は額の問題ではないということです。

 雑所得とされた馬券は 個々の馬券の敵中に着目するのではなくインターネット上の競馬情報配信サービス等から得られるデータから独自の条件設定、計算式に基づきコンピュータによる自動購入を行っていたそうですが、東京高裁の原告はレース分析を行ったうえで大量購入していたので他の馬券購入者と同質であり自動的機械的に購入していないので一時所得とされとようです。